夫や家族が職場からパワハラを受けている?様子がおかしいと感じた際の初期対応

就労
悩む女性
悩む女性

夫が最近帰宅しても言葉数がなく
疲れている様子が見られます。
表情も固く思い詰めているように見えます。

 

家族として思いつくのは
今年度に上司が変わってから
徐々に様子が変わったように感じます。

 

当初は
『細かいことへの叱責が多くなった』
『関係ないことにまで口を出されて面倒』
と愚痴も見られていたのですが

最近ではそうしたことも言わなくなったので
少し落ち着いたと思っていました。

 

ただ徐々に様子が変わってきていて

私と話した内容も覚えていなかったり

夜あまり寝れないも日も出てきて
夜中私が起きると居間でぼーとしていることも…

 

休みの日も
『疲れたから』と1日中横になっていて
以前の夫とは明らかに様子が違っています。

 

仕事が上手くいってないのかな…
もしかして新しい上司からパワハラを受けてるのかな…

 

そう思い、いざ仕事のことを聞いてみましたが
『大丈夫』の一点張り…

 

日に日に様子が変わる夫を傍で見ていて辛いです。

家族としてどうすればいいでしょうか??

しろすけ医師
しろすけ医師

仕事上の過度なストレスやパワハラなどにより
精神科へ受診される方も一定数いらっしゃいます。

 

ここでは精神科医という立場から
ご相談にお答えしたいと思います。

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家族として出来ること

本人にとって一番の味方であること

仕事上ではストレスはつきもの!

とは言え
本来ストレス自体は対処したり発散することで
解消を図ることができるものです。

ご家族であれば
愚痴や不満などを聞いたりすることで
一緒に発散を図ることも可能でしょう。

ただしパワハラ等含め
過剰、あるいは不条理にストレスがかかっている場合は
その限りではありません。

特にパワハラで受けたストレスは
解消する術なく溜まり続けます…

また職場の中で
誰からも助けがない状況におかれ
他人への不信感が強まっていることも…

こうした状況により
本人のメンタルに影響が出始め
時に家族やパートナーなど大事な人に
その影響が向けられることも…

相手への不満やイライラが出てきたり
喧嘩が増えたりするかもしれません…

しろすけ医師
しろすけ医師

でもここでstop!!

今一度冷静に考えてみましょう。

本来のご本人はどのような方でしたか??
ご本人の本心は??
しろすけ医師
しろすけ医師

はっきりと申し上げます。

 

一番辛いのは何よりご本人です!!

 

どうにかしたい…
解決したい…
助けてほしい…

 

このように思っている中で
それでも自分ではどうしようもできず
苦しみもがいているのではないでしょうか。

 

 

ご相談者さんのケースであれば
『心配をかけたくない』
この思いで1人で抱え込んでいる可能性もあります。

そこを理解し
相手がどういった態度、様子であろうが

✅まずは否定せず傍にいて受け止めること
✅何があっても味方である覚悟を持つこと

このことを言葉と態度(行動)で伝えることが
ご家族として、とても大切なことでしょう。

 

本人の状態を客観的に評価

パワハラを受けていたり
過度なストレスを抱えている人は
自分を客観視できない状態に陥っていることも…

そのため身近にいるご家族を含めて
ご本人の様子を客観的に評価することも大切になってきます。

ここでは

✅ご本人のおかれている職場環境
✅ご本人の精神症状

この2点を見ていく基準をご紹介します。

職場環境の評価尺度

職場におけるパワハラについて定めた法律が
「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」です。

同法第30条の2において
パワハラおよび企業が講ずべき措置について
下記のように定義しています。

第三十条の二
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

 

ただ
『業務上必要かつ相当な範囲を超える』
という部分が判断難しいところですよね…

✅指導/教育の一環であった
✅業務上必要であった

人や立場によっては
判断や解釈が変わってくる可能性もあり
『本当にハラスメントなのか??』
を評価するにはもう少し具体性が欲しいところです。

そこで更に
厚生労働省による定義も見てみましょう。

以下の3要素を満たすものをパワハラと定義しています。

①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
②業務の適正な範囲を超えて行われること
③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

※引用:雇用環境・均等局『パワーハラスメントの定義について(平成30年10月17日)』

そして
「職場のパワーハラスメントに当たりうる行為」として
以下6つの行為類型をまとめています。

(1)身体的な攻撃
(2)精神的な攻撃
(3)人間関係からの切り離し
(4)過大な要求
(5)過小な要求
(6)個の侵害

※厚労省 雇用環境・均等局『パワーハラスメントの定義』へのリンク

https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf

 

しろすけ医師
しろすけ医師

ご家族の仕事場での状況を聞く中で
①~③、かつ(1)~(6)に該当する行為が見られるかを
確認してみましょう。

もし該当していたらパワハラの可能性も…

 

早急に必要な支援を検討しましょう!

また、パワハラが発生するリスク因子から
職場環境を評価する尺度としては
以下のものが役立つと思います。

ご興味ある方は↓コチラもご覧ください。

①気に入らない者に対して、業務を遂行するうえで必要な情報や物を故意に与えない、
あるいは業務に支障がでるほど指示を遅らせたり、指示をしない


②気に入らない者に対してわざと低く評価したり、異動させたり、辞めさせようとする


③指示を仰がれても故意に無視したり、必要な説明を行わないなどの嫌がらせを行う


④気に入らない者をのけ者にしたり、そのように周囲に仕向ける


⑤他者の正当な権利(有給休暇の取得など)を認めない、あるいは妨害する


⑥気に入らない者に対して、明らかに無駄な仕事をさせたり、あるいは仕事を与えない


⑦到底達成できないノルマや仕事を無理やり押しつける


⑧相手の能力や力量よりもかなり低い仕事を見せしめ的に与える


⑨腹が立った時に、つい手が出て人や物にあたる(殴る、叩く、蹴るなど)


⑩失敗した時の責任を他者に押しつける


⑪他者の私生活に過度に立ち入る、あるいは休日のゴルフなど私的な事に他者を利用する


⑫飲み会など、任意の行事への参加を強要する


⑬上司の顔色を見て部下が行動している


⑭上司に対して部下が委縮している


⑮部下の話の輪に上司が入ると、緊張が走って静かになる


⑯上司に異を唱える部下はいない


⑰人から指摘されても、自分の過ちは認めない


⑱自分と異なる意見や訴えに耳を貸さない

参考:職場パワーハラスメント尺度の新規開発(日本心理学会第81回大会 発表論文より)

精神症状の評価として

パワハラによる心理的影響には
以下のようなものがあります。

✅抑うつ気分
✅イライラ感
✅疲労感 / 倦怠感
✅集中力の低下
✅不眠 / 過眠
✅食欲低下 / 食欲亢進
✅身体愁訴
✅希死念慮
✅強迫観念

ただし…

いきなり全ての症状が出ることはありません!

繰り返されるパワハラや過度なストレスによって
徐々に上記の症状が出現したり、悪化するとお考えください。

そのため
もし今症状がないとしても
様子が違うなと感じているなら
継続して経過を見るようにしていきましょう。

しろすけ医師
しろすけ医師

少し脱線しますが…

 

上記に似た症状が出る疾患があります。

そう、うつ病です。

 

私の患者さんの中でも
パワハラによる過度なストレスによりうつ病に至り
生きる気力さえ持てなくなった方もいらっしゃいました…

 

一方で無理をしてでも仕事をしなきゃと
一種の洗脳 / 強迫的な状態に陥っているケースも…

 

症状もケースバイケースなので
様子がおかしいなと思ったらその様子を
記録をしておくことも心がけましょう。

必要な支援を受け環境を整える

ご本人の置かれている状況を鑑み
必要な部分については支援/助力を受けるようにしましょう。

特にパワハラの可能性がある場合は
慎重に対応をしていくことが必要です。

✅パワハラを証明して解決を図ろう!
✅訴訟して徹底的に抗戦しよう!
✅辛い状態や表出する精神症状を取り除きたい!

いずれにせよ
ご本人あるいはご家族だけで対応するには限界があります。

そのため目的に応じ
専門家の力を借りるようにしましょう。

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まとめ

以上、
ご家族がパワハラを受けていると感じた際の
初期対応についてご紹介しました。

次回は関連として
パワハラを受けた場合の具体的な相談先について
解説していきたいと思います。

しろすけ医師
しろすけ医師

ただし、一精神科医としてお伝えしたいこととして…

 

✅環境を改善すること
✅抗戦すること

 

根本的な解決を図るため
上記を行うことも大事なことかもしれません。

 

またご家族としては
ご本人がパワハラを受けていた場合
辛いしやるせない気持ちを抱くでしょう…

 

『謝罪して欲しい』
『パワハラを認めて責任を取ってほしい』
このように思うこともあるでしょう。

 

ただ、こうしたことを行うには
ご本人にとって更に心身の負担がかかってきます。

 

ご本人はすでに疲弊していたり
気力が失われていることも…

そう考えると何より優先すべきは

 

✅いち早くそうした環境から脱すること
✅ご本人の心身の回復を図ること

ではないでしょうか??

 

未来を見て動くことより
まずは今を見ていくことが大事だと思っています。

ご本人が辛いときこそ
ご家族として支えて頂ければと思います。

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