3歳の子供と30代の夫がいる主婦です。
最近子供と一緒にいても
憂鬱に感じてしまいます…
母親としてそう思っちゃだめだ
と言い聞かせているのですが
子供へのイライラも増えていて…
また良く寝れない日が続き
身体にも疲れが溜まっているせいか
なかなか動けず家事も手抜き気味に…
夫へ申し訳ないと思う反面
子育てや育児が上手くできない自分へ
嫌悪感を抱くこともあります。
親として
本当にこのまま子育てができるのでしょうか??
ご相談ありがとうございます。
相談者さんは、今子育てが辛い状況なのですね…
精神科医として
お伝えできることをお伝えしたいと思います。
精神科医からのアドバイス
子育ては『適当』に
子育てする親はつい力が入りがちです
健やかに心身が成長してほしい
輝かしい将来をつかんで欲しい
不幸にはなってほしくない
辛い思いはしてほしくない
と思えば思うほど
育てる親として
✅日々安全に過ごせるよう周囲に注意を払わないと
✅友達ができるよう公園や外にも出かけなきゃ
✅言葉を覚えるよう沢山話しかけなきゃ
✅寝ている間に家事をしないと
✅親の私がちゃんとしないと
✅子供の未来を守らなきゃ
などなど…
色々と背負い込んでしまいがちです。
『子供が無事成長し幸せになるためには
完璧で素晴らしい親にならない(親でいないと)といけない』
『子供が心身ともに健全に育つためには
親が子育ての仕方を間違えないようにしないといけない』
このような思いや考えが
相談者さんの根底にもありませんか??
ただここで
ジュディス・リッチ・ハリス氏の
『子育ての大誤解』という著書を敢えて紹介をしたいと思います。
この本では
心理学者である著者が科学的な根拠をもとに
【育児の仕方が子どもの性格と将来を決定する】
という子育て神話が誤りであると否定しています。
著者曰く
子供の成長に大きく影響をするのは
✅子供の周囲の仲間との関係性
の2点とのこと。
もちろん一説であり
議論すべき点もあるでしょう。
ただ
【親の育て方が良いと子供の将来が保障される】
ということも証明するはできません。
そもそも
遺伝子も性格も異なる親子
どのように育成・養育すれば
どのように育つかなんて予測もできないですし
正解も誤りもありません。
なので、しろすけとしては
『親は完璧を目指さず適当に子育てをすること』
『子育てにつきっきりにならず適当に距離をとること』
この2点を相談者さん含め
子育てに悩まれている方にお送りしたいと思います。
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子育ての大誤解 重要なのは親じゃない〔新版〕 下 (ハヤカワ文庫NF)
親はいきなり親ではない
子供が生まれた夫婦は
世間的には『親』という存在にもなります。
ただ一言で『親』といっても
親になった瞬間、育児のすべてができることなんてありません。
子供の成長と一緒に、
親も親として成長するのです。
子供が10代なら10代の親として悩み
20代になったら20代の親として悩み
親としての経験は常に積んでいくことになります。
・ちゃんとした親 / 完璧な親
・子育てや子供のすべてがわかる親
なんて世の中のどこにも存在しません。
そうした架空の存在を目指したり
自分がそうだと思うのは止めましょう。
それよりも親として
『子供とどういう思いで接するか』
『子供にとってどういった親でいるか』
という関係性を考えながら
その場その場できちんと
子供と向き合っていくことが大切です。
精神科医からの注意喚起!辛い状態が続くと…
2点私からのアドバイスでした。
親として育児に対しては
気持ちを楽にすることが大事ですが、
相談者さんのように
子育てが辛い状態に陥りそれが続いた場合
育児ノイローゼになるリスクも存在します。
参考までに、
この後育児ノイローゼにも触れておきたいと思います。
誰しもがなりうる育児ノイローゼのリスク
どの家庭であっても子育て中は
✅子供が泣き出したりダダをこね始めた
✅いきなり予想外の行動をしてびっくりした
✅どうすればいいのかわからない/判断に悩むことが発生した
✅今の子育て方法でいいのか不安
など、イライラや悩み、不安は必ず出てきます。
発生の都度
うまく解消できていれば良いのですが、
こうしたイライラや悩みが積み重なったり
問題がこじれてしまうことで
『育児ノイローゼ』
に至ってしまう方もいらっしゃいます。
国全体で正確な実態調査はされていませんが、
任意で行われた過去の調査を参考にすると
約2人に1人程度が育児ノイローゼではないかと感じた
経験があるという結果も。
つまり、
育児ノイローゼは
誰しもが陥る危険性があるというものともいえます。
自分には関係ない
自分の家族はなるはずない
と思っている方!!!
そうしたご家庭ほど要注意ですよ!
参考までにもう少し見ていきましょう。
育児ノイローゼとは?
みなさん日常的にも
・ヒステリック
・○○ノイローゼ(気味)
などの言葉を、耳にしたことがあると思いますが、
実はこれらの言葉は医学の用語が元になっています。
育児ノイローゼというのは
そもそも病名として医学的に判断されたものではなく
あくまで俗称で
『育児困難を抱える方に表れる
抑うつ・不安・イライラ・不眠などの精神神経症状』
という状態像を表してる言葉とお考え下さい。
『育児ノイローゼ』
を敢えて診断名で表現するとなると
✅神経症(抑うつ神経症・心気症etc)
✅自律神経失調症
✅適応障害
のいずれかに分類される可能性があります。
具体的な症状も見ていきましょう。
具体的に見られる症状
<育児ノイローゼの症状例>
✅子供を可愛く思えない
✅ 子供の世話をするのが面倒
✅子供といるとイライラする
✅意味もなく子供を叱りつけてしまう
✅子供を産まなければよかったと思う
✅育児だけでなく、家事もやりたくない
✅夜眠れず、昼間ボーッとしてしまう
✅気分が落ち込む、毎日が憂うつ
✅わけもなく悲しくなり、涙が出る
✅些細なことでもカーッとしてしまう
✅気力がなく、何事にも興味を感じない
✅食欲がない、あるいは過食してしまう
✅肩凝りや頭痛がある
✅外出することや他の人と接することが億劫になる
こうしたことに当てはまる場合
育児ノイローゼの危険信号が出ています!
自分の状態に気付いていない人もいますので、
周りにいるご家族にも一緒にチェックをしてもらう
ことをオススメします。
育児ノイローゼかも…対処法や予防法
こうした症状がある方は
日常的に育児の負担が大きく
一人で問題を抱えているケースがほとんどです。
悩みや不安、ストレスを抱え込み
状態が悪化しないためにも
✅専門的な相談先を確保すること
この2点を行うことが大事です。
具体的な相談先&支援先
配偶者や家族、親しい友人など
一番の相談&支援者は配偶者や親族です。
辛いこと、悩んでいることを相談してください。
また、SOSを出して手伝ってもらいましょう。
相談することで
別の考え方や視点を得ることで悩みを解消したり
自分ができないことを手伝ってもらえ、
負担を大きく減らすことができます。
※関連する記事はコチラ
もちろん、友人に相談しやすい人がいればその方でもOKです。
行政の相談窓口:子育て世代包括支援センター / 保健所
家族と仲が悪くて頼れない・・・
そうした方もいるかもしれません。
そうした場合は、
自分の住んでいる地区の
『子育て世代包括支援センター』
を調べてみてください。
市区町村で子育てを支援している保健所や
子供家庭支援センターの情報が出てきます。
こうしたセンターでは、
育児に関する相談はもちろん、
支援先の情報提供もしてくれます。
子育てに関わる専門職種に客観的に対応頂けるので
悩みの解決の一助になることでしょう。
その他:法人や企業の相談窓口
行政以外にも
法人や企業が行っている相談や支援窓口は存在します。
『ファミリー子育て何でも相談』
https://kojoken.jp/soudan/family-kosodate.html
『エンゼル110番』
https://www.angel110.jp/
『子育てホットライン ママさん110番』
https://www.nippo.or.jp/soudan/
他にもお住い先によって
色々な相談先や支援先が存在します。
ご自身の地域にある相談先をお探し下さい。
症状が改善しない場合
相談や支援を受けても
なかなか症状が改善しない場合は
精神科への受診も検討してみてください。
一過的にでも良いので
・気持ちを落ち着かせる薬
・眠りやすくなる薬
など
薬の力を利用し自身の安定を図ることも
一つの方法です。
育児をするにしても
親がまずは健康であることが大事です!!
まとめ
以上、今回は
育児が辛いと感じている親へのアドバイスと
陥るかもしれない育児ノイローゼについて触れました。
✅親も子供と一緒に成長するので焦らない&常に子供と向き合っていく
✅相談先や支援先を設けておく
この3点を
胸に留めて頂ければ思います。
相談者さんも
気負わず子育てに臨んでいただけると幸いです。
必ず
『子供が可愛い』『一緒に過ごして楽しい』
と思う場面も出てきますよ!