認知症疑いだけど受診拒否!説得のコツと注意点を精神科医が解説

病気

さてさて認知症シリーズの第3弾です。

認知症の種類や検査について前回と前々回お話してきました。

※前回前々回の記事はコチラ

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今回はご家族から多くお問い合わせ頂いた

『本人が病院受診してくれません、どうしたらいいですか?』
というお悩みに精神科専門医がお答えします。

しろすけ医師
しろすけ医師

自分でも『病気かも?』と思って病院に検査へ行くとき

とても心細くなりませんか?
検査や診断を受けるというのはとても勇気がいるもの。

知りたくない・見たくない・自分は病気じゃない
という気持ちが働くのも心理的には当然なことなのです。

そうした拒否が強い方にはどのようにアプローチすればいいのか?
疑問にお答えしたいと思います。

 

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受診を促す際に一番大事なポイント【ご家族は要チェック!!】

日常診療でも
奥さん、息子夫婦みんなでなんとかご本人を説得して
病院に連れてきてくださるケースも少なくありません。

そして、ご本人が診察室内で
『俺を病人扱いするのか!もういい、帰る!』と怒鳴っているのを
なんとかなだめて診察することもあったり…

ご本人が病院受診へ拒否が強いときに
大事なことが一つだけあります。

それは

嘘をつかないこと

しろすけも若い時は、
『とりあえずご本人を病院に連れてきてください。』という立場でした。

そのため

『ご家族の病院受診に同席するため』
『とりあえず、病院で話聞くだけでいいから』
『健康診断を受けに行こう。検査するだけだから』

ご本人の耳障りの良い言葉で説得をするご家族が一定数いらっしゃいました。

ただ蓋をあけると、

『診察されるのは自分』
『勝手に検査される、うるさい機械の中に何十分も動かずにいろと言われる』
『健康診断なのになんで精神科に来るんだ?病気だと疑ってるのか?』

と聞いていた話とは全く別物。
ご本人は騙されたという感覚になるのは当然のこと。

ご本人と治療同盟を組むどころか、以降の診察も毎回
『お前は家族とグルになって俺を騙しただろ』
という話になり治療など前に進むはずもありませんでした。

以降この経験を生かし、僕自身は
・本人に誤った情報を与えての病院受診
・ご家族から『先生から説得してください』というご依頼
も基本はお断りするようにしています。

しろすけ医師
しろすけ医師

病院に連れてきても
本人が受診や検査を拒否されると介入は困難です。
また医師と患者さんとで信頼関係を構築できないと以降の治療も成り立ちません。

嘘をつくと
・余計に受診拒否が強まり、医療へつながらなくなる可能性がある
・ご本人/ご家族/医師(医療機関)との関係性が悪化するリスクが高い

と長期的に見てもデメリットしかありません。

ご家族もご心配&お困りかもしれませんが、
・病院へ連れてきたらどうにかなる
・医師(医療機関)がどうにかしてくれる
というのは誤った認識ということを理解いただき、嘘をついて受診にお連れになることだけは避けましょう

※ただし精神科における医療保護入院等が必要と判断される場合は例外です。

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【精神科医オススメ】受診拒否の方を説得する方法3選

本人が一番言うことを聞く人を探す

ご本人をよーく観察していると、
本人が比較的意見を受け入れやすい人がいます。

※心理学的にも信頼性がある人からの説得は効果が高いとされています

あくまでしろすけの感覚ですが、

男性患者さん → 父親or息子さん
女性患者さん → 母親or娘さん

など同性の親子からの意見の受け入れがしやすいように感じています。

逆に、
異性のご家族には
自身の弱さや不安感を怒りとしてぶつけてしまうことが多い印象です。
(あくまで個人的見解ですが…)

これお孫さんの力を借りるものありです!

少し脱線しますが、しろすけの失敗談をお伝えします。


しろすけの祖父は非常に頑固者でした。
年と共に運転も乱暴になり、
祖母へのきつい口調が目につくようなりました。

明らかに体の調子も悪そうでしたが、
受診の話になると『病院など断固としていかない』と怒り狂っていました。

その時僕はまだ研修医でしたが、
ここは自分の出番だ!と思い
何度も遠方まで車を走らせて実家に帰り、祖父を説得しましたがいつも最後は大喧嘩。
(私も若かった…)

後に祖父に医学部の合格報告をした妹が、
しれっと『病院くらい行けば良いじゃん、私付き添おうか?』
と言ったら無事病院へ行ったと、母から連絡を受けた時は膝から崩れ落ちそうでした。

やはり孫は強い…
しろすけも孫でしたが、医師にとして変なプライドを祖父に押し付けていたのかもしれませんね。反省です。
以降、しろすけはお孫さんパワーと呼んでます(全く科学的根拠はありません)


ご本人の説得はご本人に

どういうこと?と思われたかもしれませんね。
これは
『未来の自分へ手紙を書こう!』という意味です。

認知症の症状が原因で
ご本人が病院への受診を拒否する場合
正直、説得は困難です

もし説得できたとしても
ご家族にかなりの負担がかかることは間違いありません。

そこで、しろすけとしては
認知症なんてまだまだ先のお話と感じられる段階で
『将来のご自身』に手紙を書いて欲しいと思っています。

残念ながら、人は必ず老い今のままではいられません。
縁起でもないですが、医療、介護福祉、遺産相続の話は多くの方が避けて通れません。

もしあなたが、
できるだけ家族の迷惑になりたくない
そう思っているのであれば

自分自身を自分で説得する手紙ビデオレターを作っておきましょう。

そうすることで将来、
・自分の状態に疑問を感じたとき
・自分では気づかないが家族から指摘を受けたとき
スムーズに医療に繋がり、自分自身だけでなく家族を守ることにも繋がります。

今の時代、スマホでもなんでも簡単に撮れます。
ご家族が老後や認知症に関して考えるきっかけにもなることでしょう。

本人の困りごとからアプローチする

近頃何度も何度も母から確認の電話が自宅にかかってきて困っています。
どうにかなりませんか?
病院に連れて行って検査や診察をしてもらいたいです。

というお問い合わせが先日ありました。
これ、よくあるお問い合わせですが
少し一緒に考えてみましょう

これ、困っているのは誰でしょう?
電話を何度も受けているご家族です。

本人の困りごとは
色々なことを確認したくなる気持ちに襲われることです。

文章にすると当たり前に感じることですが
これを混同している方が多いのです。

困っていることを解決するというアプローチでなければ人は動きません。

ご本人が困っていることを見つけ、
一緒に解決する方法を見つけよう!という手法を取りましょう。

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家族での対応だと限界の場合は?

なんとか家族として
説得や話し合いを繰り返してきたけど、それでもうまくいかない!
もちろん、そうしたケースもあります。

ご本人が性格的にも頑固で家族に対して弱みを見せたくない
認知症の症状も相まって、こだわりが強く言うことを聞かない
自分が問題行動をしていることの自覚が薄かったり、そもそも自覚がない
などなど

しろすけが見てきた中でも
ご家族ももうお手上げ!!!となることが十分に理解できるケースや
よくそこまで努力されましたねというケースもあります。

その場合とるべき手段は1つ
公的機関にSOSです!

では具体的にどこにSOSを出せばよいのでしょう??

その内容は次回第4弾でご説明したいと思います!!
https://onestone-fourbirds.blog/dementia-support-center/

 

しろすけ医師
しろすけ医師

第1弾でもお伝えしましたが、認知症は早期発見・早期介入がとても大事です。
といっても、受診に行く=自分が認知症と診断を受ける可能性がある
というのはご本人にとっては非常に怖かったり心細いこと。

ご家族としてなるべく一緒にお連れ添い頂くことを医師としてもオススメします。
そうすることでご本人の不安を和らげたり
診察時に今後の生活支援の対策も相談することできます。

早い段階からご家族内でも話題にし話し合っていただければと思います。

 

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