こんにちは、マスターです
本日はご主人がうつ病になってしまった女性の物語です
それでは、コーヒー片手に物語をどうぞ
それは、秋雨の降るある日のこと
ごめんください
いらっしゃいませ
あらあら、雨の中
大変でしたね、どうぞ
すぐ温かいものお出ししますね
店員ちーこはすぐどこかに行ってしまうので
今日はシロがお手伝いです
先日、夫がこちらでコーヒーをご馳走になったと聞いて
ありがとうございました
あ、先日の！
そうです、夫がお世話になりました
…調子が悪そうだなとは思ってたけど
みなさんのおかげできちんと治療することになりました
まさか鬱だなんて思ってもみなかったですが
…思い返せば食事も美味しそうに食べないし
テレビも観てるんだか観てないんだか
笑顔がなくなったなーと思いましたけど
悲しそうに、まるで自分を責めるように静かに静かに
女性は話を続けました
先日休職の診断書がお医者さんから出ました
正直頭が真っ白になりました
妻失格ですよね
…なんでもっと気がつかなかったのかなって
もっと早くに病院に行く？って言わなかったんだろう
頭の中で色々な考えがぐるぐるして
夫から休職するって言われて…
つい色々聞いてしまいました
先生は何て言ってるの？
今後はどうなるの？
期間はどのくらい休むの？
その時の夫の顔と言ったら…
いい加減にしてくれって言われた気がしました
喫茶店の中には時計の針の音だけが
乾いた音を立ててカッチカッチと時を刻みました
子供も独立して
家では夫と二人きり
ソファーでぼーっとしている夫を見ていられなくて
お買い物に行ってくるねって声かけて
家を飛び出してきました
…そうだったのですね
お辛かったですね
温かいカフェオレです、牛乳たっぷりにしました
お気持ちわかります
でも、今回のことでご自身を責めたら
ご主人はもっと自分を責めてしまうかもしれません
誰しもがうつ病になるリスクを持っているものです
誰が悪いわけではないです
あれ、さっきまで居なかったじゃないか！？
私の驚きなどお構い無しでちーこは続けます
よく思うんです
過去を後悔するより
今できることをしようって
今できること？
まず相談する相手は選ぶ！
私たちはお客様の秘密を守りますが
世の中そうじゃない人も多い
気持ちを誰かに吐露したくなる時はまず
相手を選ぶ
盲点だけど案外この時代においては結構大事
あと、色々な質問をしてご主人に
不安な気持ちをぶつけるくらいなら
診察についていく
んで、担当の先生に質問責めにする！！
夫の診察について行くことなんて出来るのですか？
ご主人がいいよって言えば大丈夫です！
むしろ先生に会っておくと、家族で治療するぞーってアピールにもなるし
ついでに、担当の先生やクリニックの相談員に、使える社会資源に関しても聞いておいてもいいですよ
社会資源ですか？
なんです？
自立支援とか傷病手当金とか
ショウビョウテアテ？？美味しいの？
マスターは黙っててもらっていいですか？
通院費を安くしたり、休んでいる時の給与を一部保証してくれるシステムです…
話に混ざりたかっただけなのにー
うふふ、ちーこさんったら。
最後に私からも
最後に？
寄り添ってあげてください
お家は港と一緒
何かあってもここは安全って場所があることが、心の平穏に繋がります
家にいても休まらなかったら、治るものも治らない
お家は港ですか…
すると突然
ママ、マスター、ちーこねえただいまー
ママーおやつちょーだい！！
あ、お客さんこんにちは！
元気一杯の琥珀が帰ってきました
琥珀、おかえり
パンケーキ食べるか！？
食べるー！
マスターやちーこと楽しそうに話す琥珀を
嬉しそうに眺めつつ、シロが語りました
私も色々あったけど
辛い時はここにきて
みんなに助けてもらってます
私にはここが港なのかも
良ければいつでも来てくださいね
その後、その女性はご主人と一緒に病院に受診され
たくさん質問責めして主治医を困らせたそうです
後にご主人が困った顔をして教えてくれました
時折病院帰りにご主人と一緒に
ここにコーヒーを飲みにきてくださるようになるのは少し先のお話
コメント