認知症(疑い)の受診拒否!説得してもダメなときに必ず行くべき相談先

介護

認知症シリーズ第4弾です。

父親が認知症の疑いで受診に連れていきたいのですが

家族が受診を促したり説得しても拒否されて…
本人が受診に断固拒否したとき、もう見守るしかないのでしょうか?

 

という疑問にお答えしていきたいと思います。

 

実はこうした病院受診拒否については

認知症に限らず、様々な疾患(疑い)でご相談を頂きます。

特に精神科は認知症、アルコール依存症、統合失調症での相談が多いです。

 

しろすけ医師
しろすけ医師

身近にいるご家族としても

ご本人のことが心配…
実際どうすればいいのと悩んでしまいますよね?

第3弾でも少し書きましたが、
私しろすけも、祖父のときに苦労したので
そのお気持ち痛いほどわかります。

受診のことはもちろんですが

・このまま受診できず状態が悪化したらどうなる?

・本人の様子見るため定期的に実家に帰る必要がある?

・実家から仕事にいった方がいいのかな?

・本人が一人で生活できないようになったら同居して介護しないといけない?

など

将来に関してたくさんの不安を抱えて
悩んでいらっしゃるかもしれません。

精神科医としてこれは声を大きくして言いたい

不安を抱えて悶々とするくらいなら行動しましょう!!

認知症(疑い)があり受診拒否が強い場合でも
適切に公的機関へ相談し支援を受けれれば
一つ一つ解決に進むことでしょう!

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困ったときの相談先:地域包括支援センター

高齢者の総合相談窓口の役割を担う地域包括支援センター

65歳以上の高齢者の方の
医療、介護に関わる悩み事や相談事にのり、適切な支援を行っています。

地域包括支援センターとは?

もともと

1. 高齢者の総合相談
2. 包括的継続的ケアマネジメント
3. 権利擁護
4. 介護予防ケアマネジメント

の4つの事業を行うセンターとして市区町村に設置されています。

・地域包括ケアシステム
・認知症施策推進大綱

などの国の施策も受け、

認知症の方を含め、高齢者の方が地域で生活する上で

必要な医療・介護に関わる取り組みを行っています。

日本全国の市区町村すべてに設置されて、
全国で約5,200か所(令和2年4月時点)もあります!
皆さんの身近な場所で相談が可能です
※厚労省のページより

※地域包括支援センターについてもっと詳細を知りたい方はコチラ
厚生労働省:地域包括ケアシステム・地域包括支援センター等のページへリンク

認知症に関わる3つの支援

・認知症疑いがあるも受診につながらない

・認知症と確定しているが本人の拒否強く医療や介護介入ができない

など具体的な相談を通じ、必要な支援の案内を受けましょう。

特に受診拒否が強い場合の
支援として考えられる有効な手段は次の3点でしょう

物忘れ相談

地域包括支援センターが主体で実施されています。

認知症の疑いがある方が
認知症の専門の医師へ相談ができます。

【医師による問診・診察】とも言えるのですが
相談事業の一環なので受診ではありません。

実施場所は
自治体によって若干異なりますが、
保健所やセンターなど役所の管轄内で行われることがほとんどです。

医療機関には行きたくない!と受診拒否しているの人でも、

相談だったら…と腰を上げる方もいるかもしれません。

医療介入が必要だと判断される場合

・医師から相談者へ受診の促し
・検査機器のある医療機関の紹介等

を行いますので、ご本人が相談を通じ
受診に前向きになれば医療につながることでしょう。

また、相談の結果、
所見的に経過観察となる場合もあります。

その場合は、継続的な観察の支援等を相談してみましょう。

相談は無料で受けれます
※詳細はお住いの地域包括支援センターのホームページでご確認ください。

認知症初期集中支援チームの介入

認知症(疑い)の方を適切に医療や介護につなげる取り組みとして実施されています。
全市区町村に設置されています。

このチームは
認知症(疑い)の方に介入し
医療や介護サービスを結びつけることで
地域での自立生活のサポートを支援することを目的としてます。

そのため、受診拒否が強いケースは
認知症初期集中支援チームの支援を受けることができます。

具体的な支援の流れは以下①~⑥ステップです。

① 訪問支援対象者の把握

② 情報収集
本人の生活情報や家族の状況などの聞き取り

③ 初回訪問時の支援
認知症への理解、専門的医療機関等の利用の説明、
介護保険サービス利用の説明、本人・家族への心理的サポートなど

③ 観察・評価
認知機能、生活機能、行動/心理症状、
家族の介護負担度、身体の様子のチェックなど

④ 専門医を含めたチーム員会議の開催
観察・評価内容の確認、支援の方針・内容・頻度等の検討など

⑤ 初期集中支援の実施
専門的医療機関等への受診の勧奨、
本人への助言、身体を整えるケア、生活環境の改善など

⑥ 引き継ぎ後のモニタリング

認知症の専門医を始めとする複数の専門職が関わり
認知症の鑑別診断から必要な支援の導入、
その後のモニタリングまで手厚く関わるため

このチームの導入は受診につながるには
非常に有用な手段と言えるでしょう!!

支援を受ける費用も無料で受けれます。

※認知症初期集中支援チームの詳細を知りたい方は
お住いの市区町村の地域包括支援センターのホームページでご確認下さい。

オレンジ(認知症)カフェへの参加

オレンジ(認知症)カフェは、
認知症(疑い)の方やその家族、
地域住民、介護や医療の専門職など
さまざまな方が自由に参加できる集まりです。

地域の人たちが気軽に集まり、
認知症の人や家族の悩みを共有しながら
専門職にも相談ができる場所と言えます。

・認知症のことを知る
・同じ悩みを持つ方と知り合いになる
・第三者と共感をしたりアドバイスをし合える

など
同じ立場の方、お住いの地域の方々との触れ合いや交流
ご本人やご家族の悩みを和らげ、医療・介護など必要なサービスにも
つながるきっかけになることでしょう。

カフェは社会福祉法人、医療法人、NPOなど
複数の団体が主催しており、開催情報は地域包括支援センターでも教えていただけます。

※オレンジカフェに関してもう少し知りたい方はコチラ
厚生労働省:認知症カフェの取組事例へのリンク

 

地域包括支援センターを通じ、積極的にこうした支援を活用しましょう。

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その他の相談場所

内科でかかりつけの病院があるので、
そこに認知症疑いのことや受診拒否していることを相談してはダメですか?

こうした質問を頂くこともあるので、そちらにも合わせて回答致します。

しろすけ医師
しろすけ医師

ご本人が行き慣れている医療機関があるのでしたら

ご相談いただいてもOKです。

ただし、受診拒否しているのであれば、

医療機関側でできることはかなり限られるとお考え下さい。

ご本人が認知症に関しても受診を前向きにとらえているのであれば、
内科の先生から専門の医療機関や精神科を紹介してもらえたり紹介状を書いてくれたりなど、医療につながることでしょう。

ただし、認知症の診察を拒否している場合、
できるのは専門の医療機関の紹介や受診の促しまでが限界です。

ご自宅へ訪問し診察することができる医療機関もありますが

・本人が診察時間に自宅から逃走したり
・訪問時に本人に診察拒否される

とそれ以上の介入ができないケースが多いのが事実。

こうした受診拒否のあるケースは、
地域包括支援センターに相談し
行政を巻き込んで対応するのが得策と言えるでしょう。

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ご家族にも理解して頂きたいこと【精神科医からのアドバイス】

今回は病院受診断固拒否するご家族がいたら、
どこに相談するべきかを説明して参りました。

この記事を読んでくださる方の中には
今現在もご本人の対応に苦慮されている方もいるかもしれません。
精神科医として、皆様にご理解頂きたいことを最後にお伝えしたいと思います。

本人が受診拒否している理由の真意を受け止めること

そもそも病気かも…と思ったときに
喜んで病院へ行く人はいません。

誰しも
病気だったらどうしよう…
本当にそうだったら私どうなるの?残される家族は?仕事は?と
恐怖不安が出てきます。
特に今までは問題なくできていたことが、徐々にできなくなることは
まるで何かが少しずつ崩れるかのようです。

ご本人にとっては強い不安になることは想像に難くありません

実際、初期のアルツハイマー型認知症の女性などは
主症状が不安焦燥感となることもしばしばです。

ご本人が『病気を受け止めれる覚悟』がないと
なかなか受診することができません。

さらに認知症の場合は

・感情の起伏が激しくなることがある
・記憶障害により自身の症状や問題行動の認識がしにくい
・被害妄想などを伴う場合、相手の言い分を聞き入れることができない

などの症状が伴えば、さらに受診につなげるのが難しくなるが特徴です。

もしご本人が拒否をしても

・自分が自分でないようで混乱したり戸惑っていること
・認知症の症状により、拒否している可能性があること

を理解し、ご本人の言葉だけでなく

行動や様子も観察し、ご本人が何に不安を覚えているかを探るようにしましょう。
(決してご本人に対して感情的にならないでくださいませ、しろすけはそれで失敗しました…今でも後悔しています)

諦めず根気強く支援を続けましょう それでも辛い時は?

説得したけど本人が拒否するならしょうがない…

と諦めたり、放置してしまうと、認知症はどんどん進行してしまいます。

ご本人は

・病気の進行により自分が更に喪失していく辛さや絶望感
・自身をコントロールできないことによりご家族等に迷惑をかけてしまうことへの苦しさ

と一人で闘うことになります。

またご家族も、
進行により変わっていくご本人の姿を見ることで
辛い想いや、後悔の念を持ってしまう可能性もあります。

※認知症への介入が遅れ、精神科救急や入院治療に至る場合の事例も後日ご紹介します

認知症が進行したとしても、
ご家族とともに幸せに生活していくことを目標とするのであれば、
なるべく早期に医療につなげ、必要な介護・福祉支援を受けることが一番の解決策です。

ただ
ご家族としても辛さや、ネガティブな気持ちを吐き出したいときもあるかもしれません。

そうしたときは

『認知症の電話相談(社団法人認知症の人と家族の会)』
認知症の人と家族の会 電話相談のページへリンク

を利用されるのも良いと思います。

根気強く、出来うる支援を受けながらサポートを続けるように頑張って下さい!
医療にバトンタッチできたら、私たち医療関係者が全力でサポートします。

しろすけ医師
しろすけ医師

以上、認知症(疑い)の方が受診拒否しているときの相談先についてでした。

以前の記事でも早期発見・早期介入の重要性をお伝えしましたが

拒否している場合でも消極的にならず、行政にも手伝ってもらい介入をしていきましょう!!

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