認知症検査の種類や費用を紹介!受診する際の大事なポイントとは!?

病気

認知症シリーズ第2弾

前回は
代表的な認知症
認知症の初期症状
初期症状をキャッチすることの重要性
について説明しました。

※前回の記事はコチラ

認知症の種類と特徴!初期症状での早期発見のポイント【精神科医解説】

認知症の種類と特徴!初期症状での早期発見のポイント【精神科医解説】
年々急増している認知症。年齢による物忘れとも勘違いされ発見が遅れがちです。認知症...

今回は

病院に受診した場合(もしくはご家族が受診した場合)に

行う検査について

・何種類くらいの検査があるの?
・どんな検査を受けることになるの?
・検査は身体に負担になる?
・費用はどのくらいかかるの?

という疑問にお答えしたいと思います。

しろすけ医師
しろすけ医師

ある年齢からは自分が認知症かも?と思うと不安が募るものです。

病院に受診した際にどういった検査をするのかを知ることで
少しでもその不安を和らげることになれば幸いです。
※もしご家族がお連れになる際には
ご本人へ事前説明を行っておくと安心されると思います。

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認知症の検査の種類と特徴

認知症に関する検査は
大きく3つに分類されます。

①身体の検査
②脳の検査
③医師やコメディカルの問診

認知症って頭の検査以外もあるの?
と思うかも知れませんが、一つずつ解説していきたいと思います。

身体検査

一般的に健康診断で行うような検査と
お考え頂いて問題ないかと思います。

認知機能低下は
実は身体の病気の症状として現れることもあります。

そのため、全身の状態を把握し
身体に問題があるのか、頭部(脳)に問題があるのかの精査は不可欠です。

血液検査

実施理由 採血結果によって体内の臓器に異常がないかを確認します。

認知症を診断する際に行うだけでなく、
その方の健康状態の把握、肝臓や腎臓など薬の代謝に不可欠な臓器の状態把握も重要です。
定期的に採血検査を行うことがあります。

実施方法 注射にて血を採取します
所要時間/負担など 血の採取自体はすぐ終了します
注射を刺す際に少し痛みが出ます
費用(目安) 検査する内容によって変動します
あくまで目安ですが1割負担の方:500~800円程度
※検査のみの値段(診察料は別)
※検査項目が多ければ多いほど値段が高くなります

 

尿検査

実施理由 血液検査と同様、診断時だけでなく
診断後も定期的に行うことがあります
実施方法 検査当日に病院で尿を採取します
所要時間/負担など 採取は5分程度
負担はないですが、その場で採取が必要です
ご本人の協力がない場合はできないこともあります。
費用(目安) 1割負担の方:30円程度
※来院の手間を鑑み、採血検査と同時に行われることが多いです

 

心電図

実施理由 心臓の疾患の確認のため行われる検査です
(一部の認知症治療薬は心疾患があると内服できない薬もありますので、そちらもチェック)
実施方法 身体の一部に電極パットを装着します。
所要時間/負担など 検査自体は5分程度
身体への負担はありません
費用(目安) 検査の複雑さや機械の精度によって金額が変更します
1割負担の方:130円~200円程度
※一般的な心電図検査の目安です

 

胸部/腹部レントゲン

実施理由 胸腹部の臓器や骨に異常がないか確認をします。
実施方法 レントゲンの機械の前に立つか、台に横たわり撮影をします。
所要時間/負担など 検査自体は1か所1分程度
体へのご負担はありません。
費用(目安) 撮影部位や枚数によって変動

1割負担の方:210円程度(1か所1枚)

 

頭部の検査の種類

次に脳の検査です

脳の検査にも多くの種類がありますが、
一番耳にしたことのある検査は頭部MRIやCTではないでしょうか。

頭部MRI

認知症が疑われたとき、一般的には頭部MRIで脳の状態をチェックします

実施理由 脳梗塞の有無、萎縮している部位など

MRIは認知症の診断に必要な情報量を最も多く得られるため、第一選択として実施されます。

実施方法 MRI検査機の中に検査が完了するまで横になったまま待機します。
所要時間/負担など 検査機器に入ってから30分程度
動くと正確な検査ができなくなるので、じっと待機しないといけないのが心身ともに負担に感じるかもしれません。
費用(目安) MRI機器の精度によって金額が変動

1割負担の方:1,350~2,000円程度

 

頭部CTではダメ?
という質問も頂きますが、
認知症の診断に必要な情報量を
多く得られるのは圧倒的に頭部MRI!

ただし、そんなMRIもデメリットがいくつかあります。

①検査時間が長い

30分程度、
ずっと閉鎖的な検査機器の中で
じっと待機するのは意外とストレスかかります。

しろすけも試しでやったことがありますが、
正直『うーん…患者さんも大変!』と思った限りです

痛みとかは一切ないのでが、ただただ暇というか…

さらに、できる限り動かないようにしなければなりません。

②検査中の機械音がうるさい

検査機器の中では
磁器を用いているので、ガランガラン音が鳴ります。

結構な音量で…

時間は長い、動けない、しかもうるさい環境

案外辛い検査です

検査技師さんが
耳栓を用意してくれる病院が
ほとんどなので多少対策は可能ですが、
動かないことに関してはご本人の協力が不可欠です。

頭部CT

実施理由 頭部MRIが撮れない場合に第2選択肢として実施。

または、緊急時など即時撮影をしてまずは所見を見たいとき実施。

実施方法 CT検査機の中に検査が完了するまで横になったまま待機します。
所要時間/負担など 検査機器に入ってから3~5分程度
撮影自体はすぐに終わります。
費用(目安) CT機器の精度によって金額が変動

1割負担の方:1,000~1,500円程度

 

MRIでもご説明しましたが
認知症の診断においては頭部MRIは欠かせない検査です。

ただし

・MRI撮影に耐えれない方(閉所が苦手な方など)
・心臓ペースメーカーを始め、体内に磁気共鳴の恐れがある備品 / 装置が埋め込まれている方

はMRI検査ができないため
代わりに頭部CT検査を行うこともあります。

やむを得ない処置ではありますが、
これら検査による情報も診断には有用なものですので、
実施する際にはご協力をお願い致します。

 

【この記事を読んでくださっている、研修医の方へ】

簡単に検査オーダーする研修医を散見しますが、
検査を受けるご本人や検査に立ち会うご家族も大変なのです…

色々検査が終わった時に、
『検査頑張りましたねー、音大丈夫でしたかー?』
などの声掛けが、どれだけご本人ご家族との心の距離を近くするかわかりません。

しろすけは必ず
『わー、大変でしたね、あ、動かずに頑張れた?ありがとうございますー!お陰で検査結果がしっかり出ますねー!』
とかなり大げさにしています。

医師として検査は『当たり前なこと』かもしれませんが
実際に受けるご本人やご家族のことへも想いを馳せて指示だししましょう。

こうした相手を想う気持ちも
医師としてはとても大事です。
※検査もたまには見学しましょう
※技師さんと仲良くなることも大きな病院では大事です

専門的な検査(SPECT / VSRAD /  MIBG心筋シンチグラフィー)

聞いても
『なんじゃこりゃ?』と思いますよね。

そうなんです。

実はこの検査は

認知症の検査に関わる非常に専門的な検査で
かつ、実施可能な病院が限られます。

なので、一般的に医師から指示がでることは少なく

必要に応じて実施する検査

と言えます。

どんな検査をさらっと説明しておきます。

○SPECT
脳の血流量を測定する検査です。
脳のどの部位の血流量が落ちているかなどが
視覚的に把握することができ、軽度の認知症発見には非常に有効です。
○VSRAD
頭部MRIの結果を用いて
アルツハイマー型認知症の進行度合いを調べる診断支援ソフトです。
少し細かいお話をすると、
脳の特定の部分の萎縮具合を調べてくれます。頭部MRIを実施する際の
オプションとして選択できる病院もあります。(ないところもしばしば)

 

○MIBG心筋シンチグラフィー
心筋って書いてあるのに頭の検査なの?
と思われるかもしれません。
アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の鑑別などには非常に有用な検査です。実施できる病院はめちゃくちゃ限られますので、
へぇーそうなんだ、くらいの気持ちで見てください。

医師の問診

色々な検査が終わったらやっと医師の問診です。

問診にも

・一定の検査用紙を用いて行う認知機能検査
・オーソドックスな問診
※みなさんがイメージする『いつからどういう症状がありましたかー?』などの質問

の2分類あります。
(いつになったら医師の問診に辿りつけるのと思われる方もいるかもしれませんが…)

認知機能検査

◎改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
◎Mini Mental State Examination(MMSE)
○時計描写検査(CDT)
◯FAB
◯ADAS
◯CDR
※◎が一般的に実施されやすい認知機能検査

問診で色々と聞かれたり、図形を描いたりなどなど。

これも正直ふーん、色々な心理検査があるのねー程度で構いません。

どの検査するかは病院クリニックの方で判断してくれます。

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検査をする上での心構えや注意点

検査の種類や特徴を簡単に説明しましたが、

実は大事なことは2点!

・本人が検査や受診を受け入れていること
・家族がその本人のありのままの状態を判断してもらいたいと思っていること

です。

というのは
認知症の疑いのある方、病院に認知症検査で来る方は

・認知症の可能性のある自分を受け入れきれない
・感情の起伏があったり客観的に自分の状態を把握し切れていない

状態であることが多いです。

そうなると医師の前では特に

・普段以上に頑張ってしまう(自分は大丈夫と言いたい)
・できない自分を見せないようにしてしまう

ことが多いのです。

また同伴した家族も

検査中、ご本人がオドオドしたりどもってしまったとき
ご家族がヒントを出したり、答えようと助け舟を出してしまう

ことがあります。

見るに見かねて…
という気持ちもわかりますが、

ご本人の状態を正確に把握するためは
口出ししない、助けないが基本です。
※医師としては心の中で『やめてちょーだい!!』と思っています!

なので、検査や受診に行くときは特に何も準備しないでいきましょう。

検査に対しては
ご本人だけでなくご家族も覚悟を要するものです。

ただ現実を知り受け入れることで
今後の生き方や設計、幸福度も変わってきますので、
知ることを恐れず、検査&受診は積極的に受けるようにしていきましょう!

しろすけ医師
しろすけ医師

以上が認知症の検査について
いかがでしたでしょう?

認知症は非常に身近なものです
【自分は違う】と思わず、常に見返していきましょう。

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