認知症の種類と特徴!初期症状での早期発見のポイント【精神科医解説】

病気


 

高齢化が進み、平行して認知症患者の数も右肩上がり

と言われていますが

皆さん具体的に認知症の方ってどの程度いらっしゃると思いますか?

 

内閣府のデータによると

2025年には65歳以上の方のうち約700万人、

5人に1人は認知症になると見込まれています。

 

そう!とても身近な疾患なのです!!!

 

日常診療でも
ご相談がとても多い疾病なのですが
今回私しろすけが取り上げた理由は

『ありふれた疾患だから』だけはありません。

認知症という疾患には必ず

・認知症の疑いがあってもどのように介入すればいいのかわからない

・介護や福祉制度の具体的/効率的な活用方法がわからない

・身近なご家族/ご親族も認知症対応や介護等どのように支援をすればいいのかわからない

・ご家族ご親族とのご縁がなく支援方法が難しい

など

ご本人だけでなく

周囲で支援する方々にも

悩みや苦悩が発生しやすいのが特徴です。

 

もしかしたら

この記事を読んでくれているあなたも、そのお一人かもしれません。

 

認知症について理解を深めていくだけでなく

認知症患者さんの周囲にいる人達が抱える悩みにも

着目し解消を図りたい!!

その思いから、認知症を今回テーマとして選びました。

 

もし、今回の解説の中に

ご自身のお悩み対処方法がなかったら

是非このHpにてお問い合わせください。

あなたのお悩みはきっと誰かの悩み苦しみだからです。

(個別ではなくHPにQandAに順次upしていきます)

 

では認知症シリーズスタートです!!!

 

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早期発見・早期介入の重要性

認知症は介入が遅れるほど
進行も加速度的に進んでしまいます。

また、一部の海外の論文では
早期の段階で治療介入することで、
認知機能が回復する可能性も示唆されており

【早期発見・早期介入】

がとても重要になってきます。

 

記憶障害がかなり出てきて日常生活にも
大きく支障がでてきたので病院に初めて来た

そうした方が
受診にいらっしゃることもあるのですが、
正直『もっと早く来てくれていれば…』と
思うことも沢山ありました。

 

記憶障害が進んでからであれば、
誰しもが『あれ認知症かも?』と疑うことが可能です。

ただそれより前の段階、

初期の症状が出始めたときに
医療介入や予防策を準備することがとても重要!

 

もちろん、

ご本人が自身の変化に気付けれればよいのですが

自分の変化には疎いこともあり

身近にいるご家族/ご親族、ご友人等が実は第一発見者になることが多いのです。

 

そうした違いを発見するためにも

まずは認知症とはどういう疾患・特徴があるのか?

というところをしっかりと覚えることからスタートしましょう。

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そもそも認知症とは?

認知症を図で簡単に表すと以下となります

 

代表的なものとしては

①アルツハイマー型認知症
②脳血管性型認知症
③レビー小体型認知症
④前頭側頭型認知症

などがあります。

※それ以外にも認知機能が低下する
疾患もありますが、今回は割愛します。

(今後医療職向けの記事で細かい知識や学び方、オススメの本などは説明します)

まずはこの代表的な
4つの認知症の大まかなイメージ掴みましょう。

①アルツハイマー型認知症

全体の半分以上を占める認知症です。

 

異常なタンパク質が脳に蓄積して、
脳細胞にダメージを与え認知症の症状が出現してきます。

比較的女性に多いと言われています。

 

みなさんがイメージする認知症といったらこちらではないでしょうか?

記憶障害(もの忘れ)が初期症状となることが多いです。

 

②脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血を原因として、
脳細胞にダメージが起き認知症の症状が出現してきます。

別名まだら認知症とも呼ばれます。

脳梗塞や脳出血などで
ダメージを受けた部分と機能が保たれる部分が混ざりあっていて
画像上『まだら』に見えるのでそのように比喩されています。

全体の10から15%ほどで、比較的男性に多いです。

 

アルツハイマー型認知症同様、
記憶障害(もの忘れ)が初期症状となることが多いです。

アルツハイマー型認知症と異なる点としては、
突然怒りっぽくなったり、
感情が以前と比べて安定しないことです。

脳梗塞や脳出血の影響などから
手足のしびれや麻痺症状の訴えのある方も多くいらっしゃいます。

 

③レビー小体型認知症

脳内にレビー小体という
変性細胞(壊れた細胞と御考えください)が
蓄積し、脳細胞にダメージを与え認知症の症状が出現してきます。

少し聞きなれない認知症かもしれませんが、
実はアルツハイマー型認知症の次に多い認知症です。

比較的男性に多いです。

アルツハイマー型認知症や
脳血管性認知症とは少し異なり、
初期に記憶障害が目立たない方も多くいます。

症状も波があり、良い時と悪い時を繰り返します。

幻視(実在していないものがご本人にのみ見える)
という症状もあります。

④前頭側頭型認知症

①から③に比べると稀な認知症ですが、
比較的若年(早いと50歳頃から)で発症する方が多いのが前頭側頭型認知症です。

 

その名の通り、

脳の前頭葉と側頭葉という部分が萎縮していきます

・前頭葉は人間の理性を働かせる場所(人格や社会性を保つ機能)

・側頭葉は人間の言語を働かせる場所

この部分がダメージを受けるため

人格や社会性が低下し、
ルールを守れなくなったり、
衝動的に行動したり周囲への配慮がなくなります。

また、言葉をおうむ返しにしたり、積極的な発言は少なくなってきます。

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初期症状を早期発見するポイント~疾患別~

どうでしょうか、
ここまでなんとなくイメージをつかめましたか?

 

ここからが大事なところです

(これからかい!と思われた方、あとちょっとなので頑張りましょう!)

 

イメージを持つだけでは意味がありません。

イメージを持って、

『いかに家族や周囲の人が初期症状をキャッチするか』です。

初期症状や怪しむポイントをそれぞれの疾患別に書きました。

 

①アルツハイマー型認知症の初期症状リスト

※リストに当てはまる症状があるかチェック!!

・料理の献立が減ったり、味が以前より美味しくない
・散歩や運転でとにかく道を間違う、道に迷う
・お出かけの際の服装が決まらない、決めるまでに時間がかかるようになった
・とにかく同じことを何度も確認・質問してくる
・以前は1日に1回程度だった電話の回数が増える
・物を探すことが増えた
・以前は問題なく使えていた電子レンジなどが使えなくなった、使うことを避ける

②脳血管性認知症の初期症状リスト

※リストに当てはまる症状があるかチェック!!

・高血圧や高脂血症で通院している
・突然怒りっぽくなったり、感情が以前と比べて安定しない
・できること、できないことが分かれる
・手足のしびれや麻痺症状がある

③レビー小体型認知症の初期症状チェック

※リストに当てはまる症状があるかチェック!!

・座っている時に手が小刻みに震える
・ちょこちょこと歩くため転びやすい
・良い時と悪い時を繰り返す
・なんとなく表情が硬く元気がない
・寝言や叫び声が出るようになった
・とにかく色々な薬がよく効く、治療している方が悪くなる

④前頭側頭型認知症の初期症状チェックリスト

※リストに当てはまる症状があるかチェック!!

・同じ時間、同じ道、同じ行動をしたがるなどこだわりが強くなる
・こだわりがあるのに、服装などには無頓着
・周囲に対する配慮がなくなる(元々はあったのに)
・同じ言葉を繰り返す
・言葉の指示が理解できない(右手で左膝叩いてみてと言ってもできない)

などなど

ここに列挙したのは
よく見られる初期症状ですがあくまで一部です。

普段の様子と違うなどあれば、

・市区町村にある保健所
・地域包括支援センター
・かかりつけの医療機関(もしくは精神科のある医療機関)

などへすぐに相談するようにしましょう

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初期症状に該当したり、普段と様子が違う場合は受診を!

先ほどご紹介した初期症状については

ご家族が70歳を超えていらっしゃるのであれば

是非、頭の片隅にでも入れておいてください。

 

初期症状には当てはまらないけど

『いつもと何かが違う気がする…』でも構いません。

むしろこれ、精神科医のみならず医師がとても大事にするものです。

 

いつも一緒にいる家族が

何か変だな?と思ったり、

初期症状なのかな?と疑ったら

かかりつけの先生で構いませんので、一度受診しましょう。

 

しろすけ医師
しろすけ医師

認知症は遅かれ早かれ進行していきます。
大事なことなので何度も言いますが、
医療介入が早いに越したことはありません!

まだ普段の生活もできているし
この状態で受診したら悪いかな?

もし違っていたら申し訳ないし…
などは考えず遠慮無く医療機関へ相談&受診をしてくださいね!

 

以上、

今回は認知症とは?
イメージを掴んで初期症状をキャッチしよう!

というお話でした。

次回は認知症に関わる検査のお話をします!

 


 

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