ある日突然子供がアイドルになりたいと言い始めました。
近々、オーディンを受けたいとまで言っています。
芸能人の方の痛ましいニュースを目にしたりもしますし、
学業との両立ができるのかも不安で…
正直、親としてはアイドルの夢は諦めてもらって
一般の社会に出て行ってもらいたいと思っています。
どのように説得、あるいは接していけばいいでしょう?
ご質問ありがとうございます。
お子さんの夢なら応援してあげたいのが親心。
ただお子さんが苦しまず幸せに生きて欲しいのも親心。
そんな想いの中で、
ご両親が知らない世界に飛び込もうとする子供に
どう接することが良いのか…
精神科医が解説してきます。
子供の将来の夢…結論は本人だけど環境は親が作る
結論から先に言いますと…
親が『それになろう』『それはだめだ』と
子供の夢を決めつけてはいけません!
夢を叶えるための現実的な情報と試練を与え、
夢に突き進むのか諦めるのかを本人が決めるよう
促してあげるのが親の役目です
頭ごなしの否定や説得は反感にしかならない
アイドルになると言われると
常に勝負の世界で大変な業界だろうから…
親は子にリスクの高い道を歩んで欲しいとは思わないので
『そんな夢だめだ』『稼ぐのに大変だから』『諦めなさい』と
言ってしまいがち。
ただ大切なことなので何度でも言いますが
頭ごなしに否定するのはダメです。
言われたお子さんからすると
『親に夢を邪魔された』という記憶しか残りません。
【親の心子知らず】というように、
お子さんは『自分自身のことを心配してくれたから』
なんて思いません。
そもそも人間は否定された時に
ネガティブな捉え方する生き物です。
自身の胸にも手を当てて思い出してみましょう。
親に結婚相手や交際相手を否定された時…
就職先を否定された時…
『自分のために考えて言ってくれた、ありがとう!』
とすぐに思いましたか?
『頭が固くてわからず屋!』
『今は親の考える時代でもないんだ!』
『親の考えを押しつけるな!』
という悲しみや怒り、反発の感情が先行しませんでしたか?
相手のことを否定するということは反感を生み、
対立感情が強まらせ争いを発生させます。
そして争いになってしまうと
勝った方が正しい、負けた方が悪いという
『どっちが正しかったか』という論点に変換されて
関係性に亀裂が入ってしまう可能性も…
本来、親子で話し合うべきなのは
『子供にとって幸せに生きる夢(目標)は何なのか?』
のはず
決して争いたいのではありません。
子供に寄り添い一緒に模索する
では、どうするといいのでしょう?
それは
とにかくお子さんに好奇心を持ちましょう。
✅どんな経験がそういう願望を動かしたのか?
答えられないなら待ってあげましょう。
そしてお子さんの志望理由から
現実可能なところを一緒に考えてみてあげましょう。
例えば…
アイドルを目指したい理由が
・舞台やテレビをみて
・ディズニーのダンサーさんに憧れて
・友人がちょっとした雑誌に載っているのを学校で自慢されて
・友達みんなに歌がうまいからアイドル目指したら?と勧められた
などの理由だとしましょう。
親にとっては
『え…そんなことで?』と思うような理由であっても
決してそれにケチをつけてはいけません
子供にとってはそれが理由であり
しつこいようですが、それがお子さんの物差しです。
親の物差しで測ったり、その物差しを押しつけてはいけません。
そして志望理由から
実現可能な選択肢をまずは提案しましょう
なら歌のレッスンに行ってみては?
ならオーディション受けてみては?
そしてそこに条件をつけましょう!!
歌のレッスン上で先生にも評価されないと難しいかもよ
オーディションを30個受けて一つも受からなかったら難しかもよ
と
本人が現実を見る過程、試練を超えていく過程で
自分で諦めたり、夢を変更するのであれば
親御さんに邪魔されたという記憶は一つも残りません
また、逆にその過程の中で
本人が諦めずに試練を乗り越えていくのであれば
本当の夢なのかもしれません。
どちらであっても
子供に寄り添い一緒に夢を模索する立場として
傍で支えてくれた親になるでしょう。
ここで実例をご紹介
僕の両親の話です
僕が言うのもなんですが、かなりしたたかな親です。
僕の6歳下の妹が警察官になりたいと高校生の時に言い始めました。
親の目論見としては長男の僕が医師になり、
妹は歯科医にさせると言うものだったため、さぁ大変。
(後に、妹は父の診療所にあるこち亀の漫画を読んで、
いいなと思っただけと判明しましたが)
しかし、全く否定しないのが我が家の両親の怖いところ…
とある日
両親は知り合いの警察官の方と家族ぐるみで食事会を開きました。
妹は将来の先輩と話せると大喜びです。
色々な質問を警察官の方にして
転勤の多さや上下関係の大変さなどを知ると
あっさりと諦めた妹
(まぁ、そもそもが漫画で憧れただけですから)
親のコストは食事会の時間と食事代だけ。
しかも娘の夢を応援したというおまけ付き。
食事会の後、妹のいないリビングで
親から思惑通りになって良かったと打ち明けられた時
『いやぁ…したたかな親!!』と
当時大学生だった僕は思い
親の恐ろしさに気がついた瞬間でした。
まとめ
アイドルの夢をどのように諦めさせるか
という相談からスタートしましたが…
本気の夢でない限りは
過程の試練の中で必ず子供も夢を変えていくものです。
といっても夢を諦めさせるのが大事なのではなく
『子供が幸せに生きていける夢を見つけ具現化していくこと』
が大事
どんな夢であっても、
夢を持つことは未来への期待でもあります。
そうした期待を失わせるのではなく
✅あ…これは自分には無理かも…他で勝てるところに切り替えよう
そのように夢と現実を比較できる環境を与えていくことが
親としてできることではないかと思います。
ご相談者様も
頭ごなしに否定したり諦めるよう説得するのではなく
何故目指したいのか?をしっかりと聞きながら
現実的な提案からスタートしてみてください。
諦めるならそれで良し
逆に諦めずきちんと練習したりオーディション会場に通うならどうか全力で応援してあげてください。
もしかしたら、
本当に素敵なアイドルになるかもしれませんよ