復職してから前のように働けるか不安です。
また症状が出てきたら…
困ったり辛いときに誰に相談すればいいのだろう・・・リワークに参加したいけど、正直違いがわかりません
休んでいた環境から働く環境に変わることは大きな変化です、
戸惑うことは当然です。
環境の変化への耐性や、働けるという自分への自信を獲得していくためにも
リワーク・復職支援を受けることは有用です。
※リワークに関する記事をまだご覧になっていない方はこちらも!
リワークのメリットは!?参加効果を高める方法を精神科医が伝授します
リワークを受けれるのであればどこでもいい!
というわけではありません
そもそもリワークを実施している機関は
②医療機関
③障害者福祉サービスの一環でリワーク事業を行っている企業
④一般のサービスとしてリワーク事業を行っている企業
⑤休職者が在籍する企業
など様々です!
費用の負担や対象者、プログラムの目的が異なってきます。
予算や目的に合った実施機関を選ぶことがとても大切!
そこで、適切な支援機関を選択するためにも
各機関の特徴等を以下にまとめました。
各実施機関の特長について
地域障害者職業センター(職リハリワーク)
地域障害者職業センターは
独立行政法人高齢・障害・求職支援機構により
各県に1カ所以上、設置されています。
職リハワークとも呼ばれ、
公的なリワークプログラムとして認知されています。
休職者本人だけでなく、復職先の企業へも支援を行うのが特徴。
支援の目的と内容 | 復帰に向けた職業リハビリテーションの実施や、企業への助言等
例) |
利用対象 | ・雇用保険加入の事業所に雇用されている従業員で休職中の方
・主治医(精神科等)の診断により、精神疾患を有していることが確認できる方 ・職場復帰に向け休職者本人/企業/主治医の3者の合意が得られた方 ※企業の担当者の合意が必要というのもポイント |
支援スタッフ | 障害者職業カウンセラー等 |
費用 | 労働保険にて運営されているため、利用者本人は費用負担はなし
※交通費やプログラム参加時の昼食費等は自己負担 |
支援期間 | 12~16週を標準 |
利用方法: | 休職者本人、企業、主治医のいずれかからの支援要請を受け、 職場復帰に向けた3者の合意形成を図った上で支援実施。 開始するためには説明会に参加し申請。 申請後、支援スタートまで6~8週間程度かかる。 |
医療機関(医療リワーク)
精神科の医療機関のうち、
診療報酬上の医療サービス
(精神科デイケア/ショートケア/デイナイトケアなど)として、
復職支援に特化したプログラムを実施しているところがあります。
医療リワークとも呼ばれ、医療機関ごとにプログラム内容は若干異なります。
支援の目的と内容 | 病状の回復や安定化、 再休職の予防を目標とした医学的リハビリテーションが主体。 医療機関ごとにプログラムを独自に設定されているが 生活習慣を整えたり、社会生活機能訓練を中心に実施されることが多い。例) ・疾病の理解や自己の状態の把握と管理 ・生活習慣の構築やコミュニケーショントレーニング など |
利用対象 | 精神科の医療機関に通院中で、 主治医よりリワークについて利用指示/利用許可があった方 ※治療の一環でもあるので本人と主治医の合意のみでOK |
支援スタッフ | 診療報酬によって規定される 医療の専門職が多く配置。※医師/保健師/看護師/作業療法士/精神保健福祉士/心理士など) |
費用 | 健康保険適用なので、 健康保険加入者は自己負担割合(1~3割)に応じて費用負担発生 提供される医療サービスの内容で費用も変動仮に・・・ 『精神科デイケア』として リワークプログラムが実施されているとすると1回の参加費用は ・1割負担で820円 ・3割負担で2,470円※精神科の通院費用が1割負担になる医療費助成制度 『自立支援医療制度(精神通院)』を申請し利用するのがお勧め ※コチラの助成については別記事にて詳細を説明しています |
支援期間 | 支援計画や個人の目標等によっても様々 治療や症状安定のためのプログラムでもあるため、 利用期間の制限はなく、復職後も再休職予防を目的に利用可能 |
利用方法: | 主治医がいる医療機関で医療リワークを実施していれば、 主治医の許可があった後、見学~手続きをすれば利用可能。※もし自院でリワークをしていない場合は・・・ 連携している医療機関を紹介してもらうか、 自身で医療リワークを受けたい医療機関を探し、 主治医にその医療機関への紹介状を記載してもらった上、 予約をして訪問。 |
障害者福祉サービスの一環としてリワークを実施している企業
障害者総合支援法に定められる
障害者福祉サービスの訓練等給付の
位置づけでリワークを実施している企業があります。
支援の目的と内容 | 内容等は①の地域障害者職業センターに近い。 復帰に向けた職業リハビリテーションを主とし、 復職先企業との折衝や調整等も必要に応じて行う。 |
利用対象 | 精神科の主治医に利用を勧められた方 または、すでに障害者福祉サービスの受給者証を取得している方 障害者福祉サービスの受給に該当する程度の障害区分の方 |
支援スタッフ | 社会福祉士・精神保健福祉士など福祉職のスタッフが配置されていることが多い。 |
費用 | 障害者福祉サービスの一環のため、原則1割自己負担が発生。
施設の基準等によって1回あたりのサービス費が異なってきますが、 ※サービス費の自己負担については 世帯年収が概ね |
支援期間 | 個人によって異なってきますが、 3~4ヵ月程度を目安とし、最大で2年まで |
利用方法: | 障害者福祉サービスの受給認定を受ける必要があり、 ここをクリアできないと利用ができません。新規申請の方は主治医に意見書記載をしてもらう必要があるため、申請前に主治医への事前に相談を行っておくとスムーズです。まずは住んでいる区または市町村の市役所にいって障害福祉課等の担当者に申請希望を伝え流れを確認しましょう。 相談支援事業所にて利用計画の作成等も必要であり、受給開始まで1~2か月程度かかることもあります。新規受給できた方、または既に受給されている方は、 障害者福祉サービスとしてリワークをしている事業所を見学後、申し込みの上利用開始。 ※受給のための手続きをフォローを行っているリワーク事業所もあり |
一般のサービスとして復職支援を実施している企業
近年メンタルヘルスへの関心が高まり、一般企業でもメンタルヘルス関連の事業を行う企業が出てきています。
その中で、医療や福祉サービスではなく、一般のサービスとしてリワークや復職支援を実施している企業もあります。
支援の目的と内容 | カウンセリングを中心に、 休職者と主治医、企業との橋渡し等行い復職を支援。 |
利用対象 | サービス提供をしている企業によって設定 特に制限等なく、休職中の方であれば企業側との協議の上、利用可能 |
支援スタッフ | 元医療機関にて務めていた医療専門職や、産業カウンセラー、キャリアカウンセラー等を配置していることもあるが、明確な基準はないため企業側で任意設定。 |
費用 | 企業ごとに独自に設定。 一例として、カウンセリング1回8,000円 など ※医療や福祉サービスではないので、完全自己負担。 |
支援期間 | サービス提供している企業によって設定 特に制限等なく復職等処遇が決まるまで支援は受けれる(可能性高い) |
利用方法: | 提供している企業に申し込み。 特に医師の指示や企業側の指示がなくとも利用は可能。 |
休職者の務める企業が行うリワーク(職場リワーク)
企業内で行われる復職支援のためのプログラム。
職場復帰訓練を実施している企業や、従業員支援プログラム(EAP)サービスを利用する場合もあります。
支援の目的と内容 | 休職中の方を復職させて 安定した就労ができるのかを見極めることが目的実際の復職に向けた最終調整を行う場とも言えます。 |
利用対象 | その企業に在籍する休職中の従業員 |
支援スタッフ | その企業のスタッフ(人事部が主になることが多い)
従業員支援プログラム(EAP)サービスを請負で他企業へ依頼している場合は、その委託先の企業のスタッフが対応する可能性もある |
費用 | 福利厚生の一環として企業側で設けていることなので、自己負担はなし |
支援期間 | 企業側の設定によるが、基本的には復職の可否が決定するまで |
利用方法: | 各企業の規定により |
特長まとめ
それぞれの特長をメリット・デメリットとして
簡単に表にまとめると以下の通りです。
特長やメリット | デメリット | |
①地域障害者職業センター | 復職先企業も復職支援計画に関わるため、復職を目標とした具体的な職業リハビリができる
復職先企業への面談や助言等も行うため、スムーズな復職が期待できる リワークの参加費用は自己負担なし 年間約2,500人程度が利用している中で、復帰率80%over |
利用希望者が多く、申請から利用開始までに1~2ヶ月待機となる可能性あり
特定の条件下じゃないと利用できない |
②医療機関 | 医療専門職から支援を受けることができるため、安心してリワークへ参加できる
同一の目標を持つ人とも知り合えるため、精神疾患への理解や目標へのステップアップが図りやすい 主治医とリワークを実施している医療機関の利用許可があれば利用開始できるので、開始まで比較的スムーズ 治療の一環でもあるため再休職予防を目的に復職後も利用可能 |
プログラム内容が医療機関によって様々なので、自身の希望と一致するか情報収集する必要あり
治療プログラムであるため復職への一歩手前の生活訓練や病状の安定化、再休職予防が主な目標 対患者個人・対家族までの支援となり、第三者である復職先の企業との折衝や面談等までは基本行わず、復職先に合わせた具体的な職業リハビリ等は期待できない
医療リワークへの費用負担が発生 |
③福祉サービス | 障害者福祉サービスの受給者証があれば本人の利用希望のみでも利用可能 ※ただし実際の復職をしていく過程を鑑みると、主治医への利用報告が望ましい復職に向けた具体的な支援や、復職先スタッフ(人事や上司等)との面談同行や仲介等、復職先を絡めた支援を受けることが可能 |
復職用のリワークをメインとして行っている福祉サービスの事業所は少ない ※転職や退職者の就労支援が多い障害者福祉サービスの申請~利用開始までは1~2ヶ月程度かかるため、すぐに利用開始はできないスタッフの配置については、サービス管理者以外は研修の有無や資格、障害者支援の経験等への明確な基準はないため、企業の運営体制や取り組み方次第でサービスの品質が大きく左右される可能性あり |
④一般の企業 | サービス提供の企業の基準で利用でき、おおよそ本人の意思のみで利用可能。 ※医師の復職指示前からも休職者本人から希望があれば利用可能 |
医療/福祉サービスではないため、費用は完全自己負担
スタッフの配置については、基準がないため医療/福祉の専門職等が関わっているか不明確 |
⑤職場リワーク | 具体的な復職時の環境にて調整・折衝できる
費用負担なし |
復職先企業でそもそもリワーク等を行っていないことが多い
医療や福祉専門職が支援するわけでなく休職者本人のみでの対応となるため、折衝等も自身で判断して全て行う必要あり |
以上が各機関の特長となります。
リワークの利用を考えている方に
自身に合った機関を選び、復帰に向けて歩んでいただく
参考資料になれば幸いです。
ちなみに…
うーん ちょっと自分で選ぶのも不安だな…
と思う方もいらっしゃると思うので、
『どのリワークを利用するとよいのか~ケースワーク事例~』
をテーマに次の記事でもご紹介したいと思います!!!